2005年10月21日【 a-t 弾き語り 】
もう一つの日本シリーズ

秋田書店発行の「少年チャンピオン」に連載中の「ドカベン」
講談社発行の「モーニング」にそれぞれ連載中の「野球狂の詩」
この、ともに水島新司による人気野球漫画シリーズの2作が
出版社の違いという壁を壊して、おもしろい企画に出ている
それぞれのストーリーで扱っているのが、
たまたまセ・リーグとパ・リーグだったり
この二誌の発売日がともに同じ木曜日だったりというのを利用して
漫画上で日本シリーズを描くというもの。
作者が同じ水島新司であるものの、権利関係など
さまざまな問題があったろうに…大胆でおもしろい企画だと思う。
これまでにも、たとえば所属レコード会社が違う
2組のミュージシャンがコラボレートして
曲を発表したりとかは聞いたことがあったが
基本的に提供される曲は同一のものになるケースが多い。
しかし、水島流日本シリーズは
同じゲーム展開でも、それぞれのチームの視点で
作品が描かれるのが非常に興味深い。
「少年チャンピオン」の「ドカベン」側では
ピッチャーの里中がいきなり先頭打者から
タイミングを合わされ、出塁させてしまうが
殿馬の機転と自身のダイレクトキャッチで
それらを切り抜ける…
という、いわばピッチャー里中を中心とした
守りの側からの視点で物語が描かれるのに対し
「モーニング」の「野球狂の詩」では
実は試合開始前のフリーバッティングから
監督であり投手でもある岩田鉄五郎の戦略が展開され、
里中に対してのタイミングの合わせ方にもベンチ側で
打者に対してきちんと指示が与えられていた…
という、攻撃の側からの視点で
物語が展開される。
DVDのマルチアングルのようでもあるが
同じ出来事に対し、こちらは完全に
ストーリーが二つ存在しているし
ドラマ「24」のような時間軸手法のようにも見えるが
こちらは同じ時間を2誌で描けるため
一つの場面を描くことで、必然的に空白になる別の場面が
存在しないことになる。
2誌を読み比べると、確かに同一の出来事を
描いているのだが、単純に同じシーンのコピペ等もなく
丁寧に描かれているのも含めて非常におもしろい。
自分のペースでストーリーを読むことができたり
何度も読み返したり見比べたりできたりという
漫画ならでは特徴を活かした作品でもある。
デジタルコンテンツがひたすら注目される昨今だが
これはまさに「紙媒体の逆襲」!!
「紙媒体」でもアイデア次第でまだまだ
こんなにおもしろいことができるという主張にも思える。
「秋田書店VS講談社」でもあるこの日本シリーズ
気になるのは…試合の勝者をどちらにするのか…?
また、
本企画で、最終的な勝者になるのはどちらの出版社になるのか?
楽しみながら見守りたいと思う…。
リアルの世界でも
「阪神タイガース」VS「千葉マリーンズ」の日本シリーズが
いよいよ開幕する。
どちらも好きなチームなのでどちらを応援していいか迷うが
漫画同様、観客が楽しめる素敵なゲームを期待したい。
投稿者 a-t : 2005年10月21日 22:10
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